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今日は何かのお祝いかい?

最近ちょっと元気がないおじいちゃん

元気をつけてもらおうと 今日の夕ご飯はカツを揚げた

父「ほー今日はごちそうだな。何かのお祝いか?」

私「はい 今日も皆でご飯を食べれたお祝いです!」

夫「おじいさんにカツを入れてもらわないとね!」

最近私のオヤジギャグが伝染している夫

おやじギャグと言うよりは おや自虐(!?)か・・

と一人笑っている私

今日はお嫁ちゃんのK子ちゃんが 週に1度顔を出してくれる日だった。

父「またK子ちゃんが来てくれたんだけど・・」

なんだかあまり嬉しそうな感じじゃない様子に

夫「気を遣うようなら お小遣い制にしてみる?」

父「何気なく もう来なくてもいいと言ってくれるか?」

父「わしは おばあさんだけいてくれればいい・・」

やっぱり おばあちゃんのいない生活に日に日に寂しさが募ってきているのが伝わってくる。

だったら・・そんなに側にいて欲しい人に人はなぜ意地悪を言ってしまうのだろう。

言葉の暴力を浴びせてしまうのだろう。

目の前の現実は私にそして私たち夫婦に何のメッセージを送ってくれているのだろう。

「出てけ」と言われ続けたおばあちゃんは本当に出て行ってしまった。

もしもそんなつもりじゃ無く言っていたことだったとしたら・・

おじいちゃんは言霊のパワーを知らなかったのか

本当に言った通りになっているこの現実

言葉の力のすごさが怖くもある

このまま二人が離ればなれになったまま天国に帰る事になってしまったら
あまりに悲しい最後

おじいちゃんはおばあちゃんに言ったことを覚えているだろうか?

もし忘れていなかったとしたら 今おばあちゃんに何て言いたいのだろうか?

聞いてみたいような怖いような 聞く必要があるような 聞く必要がない事なのか?・・

今世での宿題は来世で解決するから いいんだよ という話しを聞いたことがある。

もしも また来世に生まれてきて また夫婦になったとしたら 今度は本当に誰が見てもうらやむような仲の良い 幸せな夫婦になっているのかもしれない・・

そう思うとこのまま 神様に任せて見守る事が良いような気もしてくる。

おじいちゃんは美味しそうにカツをペロッと食べて

父「じゃあ 離れに帰るよ ありがとう」

私「お父さん 大丈夫ですか?」

父「OK牧場」

明日も「夕ご飯を皆で食べれたお祝い会」開催に決めた・・

 

おばあちゃんが行ってしまったお話はこちらから見れます

 

 

 

 

 

おじいちゃんが大笑いした

我が家の庭には大きな甘夏の木が1本ある

今日の夕ご飯の時

父「そろそろ あのミカンは取った方がいいのかな?」

その大きな甘夏の木はおじいちゃんがいる部屋の窓の目の前に見えるので毎日気になっていたらしい

私も見て見ぬふりをしていたが 今年もたわわに甘夏がなっている

甘夏の収穫時期の決定とたくさんのミカンを親戚一同に送る采配をふるのは毎年
おばあちゃんの仕事だった。

それが今年はおじいちゃんの考える重要事項となっている。

夫「一つ取って食べてみたらまだ酸っぱかったよ。取るのはもう少し甘くなってからでも良いのかね?」

私「取ってから甘くなるのかね?」

「木登りが大好きな孫達に来てもらって 取りましょうか?」

今夜はミカンの話題で持ちきりとなった。

毎日毎日 目の前で重そうにぶら下がっている甘夏を見るたびに

おじいちゃんはおばあちゃんの事を思い出していたらしい。

まだ酸っぱいと聞いて思わず私が言った。

私「おじいちゃん まだ未完成(ミカンせい)だって」

父「わっはっはっ・・ えりさんもうまいこと言うな」

こんなに大声で笑うおじいちゃんを見たのは初めてだ。

おやじギャグでこんなに笑ってくれるなら これからこの路線で行こうかな。

 

 

 

 

 

86歳の懺悔(ざんげ)

わしはおばあさんに謝りたい

いつもの様に3人で夕食を食べている時だった。

突然おじいちゃんががこう言い出したのだ。

自分が入院している間におばあちゃんがいなくなったいきさつを初めて詳しく聞いてきた。
おばあちゃんの事はそれまで体調が思わしくないから妹夫婦のところで養生しているという説明をしていた。

だから落ち着いたらすぐに帰って来ると思って居たらしい。

でも最近部屋の中をよく見てみると どうもおばあちゃんの物が無くなっている事に気がついたとのこと。

さすがに何かおかしいと気づき、そうやって考え出すと悪い事ばかりが頭の中をぐるぐるし始めるようになったんだと・・

そんな中 自分で「出て行け」と言った言葉を思い出した様子だった。

父「出てけって行った事を 謝りたい・・ わしは一人では生きていけない」

私「・・お父さん 出てけって言ったの 覚えていたんですか?・・」

父「ああ たしかに言ったな。わしもお酒を飲んでいたか。なにかイライラしていたのかな・・」

 おじいちゃんはよっぽどおばあちゃんのいない生活が寂しくて仕方がないのだろう・

父が自分から謝るなんて事を口に出すことなんて想像もしていなかった。

それまで押さえていたおじいちゃんに対する感情が止められなくなって私は思わず言っていた

私「私だったら、もし旦那さんに「出て行け」と言われたら すぐ出て行きます」

それから おばあちゃんの話になった。初めて本当の事を知りたいと真剣な表情になっているおじいちゃん

自分も父親から暴言をはかれた事があった事など 昔の事など話し出す。

私「その時 お父さんは どう思ったんですか?」

父「一生 恨んでやると思った」

私「そうでしょう・・」と思わず私は言っていた

それがおばあちゃんの気持ちなんだよ!ともっと強く言いたい自分をやっと抑えた。

でも謝るのは 誰のため?。 自分が寂しいから? 謝れば全て解決しておばあちゃんが帰ってきてくれると思っているおじいちゃん。

実はこの話は今度の日曜日におばあちゃんが荷物の整理をしたいからと娘のAと実家に帰って来る事になったことから端を発した事だった。

それは一時帰国のように 用事を済ませたら二人はすぐ帰るという予定だった。

父「その時に 謝りたいから 少し時間を取るようにしてくれないか?」

私「それじゃあ、何かおばあちゃんの好きな物でも作って一緒にお昼ご飯でも食べるようにしましょうか?」

父「えりさん そうしてくれるか・・」

私「ところで お父さん おばあちゃんは何が好きなんですかね?。」

父「???」

おじいちゃんは何も知らない。おばあちゃんの好物。(おばあちゃんはタマネギの天ぷらやグラタンが大好きな事。
おじいちゃんがネギ類が嫌いなので何十年も食べられないで居た事。)

そして謝ったらおばあさんが帰って来ると思って居るおじいちゃんはもうプロ野球を二人で見たいと言っている。
父「おばあさんは ドラゴンズファンでなあ・・勝つとわーわー言っていたぞ」

でも私は知っている。

おばあちゃんはテレビがあまり好きではないこと。

難聴のおじいちゃんが爆音でテレビをつけている中で西部劇や野球を一緒に見ていたこと。

それをおじいちゃんはおばあちゃんもてっきり好きだと思っていたこと。

一緒におじいちゃんの話を聞いていた夫は一言

夫「おじいさん 自分でそれに気がついて 偉かったね」
 「おばあさんに 言ってみて 本人がどう思っているか聴いて見たら?」

父「そうするわ・・」

父が離れに帰った後、夫と二人で話した事・・
離ればなれになっているから、父からこんな言葉が出てきたこと。
「これが第一歩だね。」

夫婦が一番お互いの事をわかっていないのかもしれない。
安心して好きな事を言っているのかもしれない。
私も明日もし死んでしまうとしたら、 悔いのない人生だったと言えるのか?
おじいちゃんは私達に(というより 私に)大切な事を教えてくれているような気がしてきた。

おばあちゃんが出て行ったいきさつはこちらから見れます。→

 

 

 

 

 

おじいちゃん バージンロードを歩く(!?)

いつもの様に おじいちゃんと夫と3人で「今日も皆でご飯が食べれてよかったね」と夕食会が始まった。

 

そこに携帯電話が娘のAからの着信を告げた。

スピーカーホーンにすると自然にそこは4人の食卓の様になった。

娘の声が聞こえると おじいちゃんは自然に笑顔になって行く。

娘「おじいちゃんにお願いがあるんだけど・・」

父「なんだね?」

娘「結婚式の時にバージンロードを歩く時 お父さんとおじいちゃんに一緒に歩いて欲しいんだけど いいですか?」

父「オーオー いいよ」
二つ返事で答えるおじいちゃん。

夫も私もびっくりして聞いている。

2ヶ月後に結婚式を控えているAは、とてもおじいちゃんとおばあちゃんを大切に思ってくれていて、これまでも時々二人を温泉に連れて行ってくれたりしていた。

Aの事になると 顔が緩むおじいちゃんだが さすがにバージンロードを一緒に歩くというと少し前なら絶対に

「気持ちはあるが 無理だー」と言っていたような気がする。

確実に元気になってきているおじいちゃん。

父「よし あと2ヶ月あるな・・毎日 頑張って散歩に行くからな」

私も今までたくさんの結婚式に出席させてもらったが、父親と祖父に挟まれてバージンロードを歩く花嫁さんは観たことがない。

Aもいろんな事を考えてくれていたんだなと思うとありがたい気持ちになった。

そしてその提案に何の抵抗もなく答えるおじいちゃんに 孫パワーのすごさを感じた。

家族は皆繋がっているんだなとあらためて思った。

おじいちゃんはこれから毎日 離れと母屋を繋いでいる夫の作った松の廊下(!?)を杖をコツコツさせながら歩いてくるとき、赤いバージンロードを孫のAと腕を組んで
歩いているイメージで来るのかな?

思わず そのおじいちゃんが倒れないようにその横に私が腕を組んでいる姿を想像し まるで4人3脚のゲームみたいとひとりで吹き出してしまった。

 

 

 

 

 

おじいちゃんの目が真剣になった

今日の夕ご飯の時

夫「お父さん 今日は散歩に行った?」
父「イヤー 今日はとても寒かったから 行かなかったよ」

私「お父さん私朝行ってきました」
父「えりさんは どこに行ったんじゃ?」

私「私 毎朝 歩いてます。今朝は寒くて霜が降りてたけど、今日やめると明日行きたくなくなるから」

父「えっ? 仕事に行く前にか? それは 知らなかった」
父「毎日か?」

私「はい もう かれこれ6年くらいかな」

父「ホー それは感心なことだね だからえりさんは健康なんだね」

それまで人ごとの様に聞いていたおじいちゃんだが次の私の一言で黙ってしまった。

私「だって私が健康じゃなかったら おじいちゃんが困ると思って・・」

父「・・・・」

その時私はおじいちゃんの目が真剣になったのを見逃さなかった

父「そうか・・ じゃわしも頑張らないとな」

きっと明日から おじいちゃんは毎日の散歩をガンバルと決めたのではないかと思った。

父「ごちそうさま。今日はこれで帰るよ」

夫が作ってくれた 母屋と離れの間の松の廊下(!?)をコツコツと杖の音をたてて帰って行くおじいちゃんを
いつもの様に見送ろうと外に出ると

父「ここでいいよ。ありがとう」としっかりした口調で言う。

自分が健康でいる事は自分の為だけでなく人の為にもなるんだと言うことを初めて知ったかのような

キリッとした表情のおじいちゃんに 

もしおばあちゃんがいたら おじいちゃんとこんな会話はしてなかっただろうなと思うと

なんだか不思議な気がしてきた。

 

 

 

 

 

「しつもん夕食会」やってみました

 

「しつもん読書会」に参加して夕食の時に「しつもん」してみるのはどうかと考えた私

私「お父さん 何か今日面白い事ありました?」
父「特に 無いなー」
私「パチパチパチ  事故も無くてよかったですねー」

私「Sさん(夫)は何か面白い事あった?」

夫「それがね 患者さんで面白い名前の人がいてね・・」
私「へーどんな名前?」
夫「太 と書いてふとると読むんだよ」
父・私「へーそれは珍しいね」「それでその人ってちなみに 太っているの?」
夫「以前はすごく太っていたみたいだけど 今は痩せているよ」

私「いろいろな名前があるもんですね」
父「そういえば 今やってる オリンピックに出てくる若い子達もしゃれた名前の子が多いぞ」
私「へーそうなんですね。例えばどんな名前?」
父「んーとなんて言ったかな?」

しつもん夕食会は何気ない会話に花を添えてくれる気がした。

ここで私が気づいたことがあった

夫との会話はこれまで目の前の緊急性のある話題の連続だったような気がする。

子供のこと・親のこと・日常の解決しないと行けない事。。。

なので緊急ではないけど重要な事を後回しにして来たような気がする。

本当の意味での心の交流ということ 分かっているようで全然わかっていなかった事に気づいた。
夫の考えていること・今日職場で起こったこと・楽しかったこと・悲しかったこと・苦しかったこと・聞く余裕がなかった
というより聞く事の重要性を感じていなかった自分だったような気がする。

でも今日しつもん夕食会をしてみて
聞けば夫もたくさん話したいことがあるのではないかと思った。

何にも聞いてこなかった私。自分の話ばかりしていた私に気がついた。

おじいちゃんの為にしつもん夕食会をしようと思ったのに夫との心の交流に思いを馳せることになるなんて

おじいちゃんのおかげだ・・

今日も気づかせてもらって ありがとうございました

「しつもん夕食会」をしようと思ったきっかけはこちらから見れます

 

 

 

 

 

しつもん夕食会はいかがですか?

 

 

「読まなくていい しつもん読書会」というZOOMセミナーに参加した。

「読まなくていい」 というフレーズにひかれて 

いつかは読もうと思っていた本を持参して参加したのだが

とても不思議な事に読んでないのに本を読んだ気になってくる。

しかも講座が終了してから無性に読みたくなって一気に読んでしまった。

あのセミナーに参加していなかったらまだ「つん読」状態になっていたかと思うととても有意義なセミナーだった。

主催者の方は参加者に8つのしつもんをしていきながら 楽しくも自分の気持ちをうまく引き出してくれた。

とても自然な感じで自分が言いたかったことの深いところまで導かれている感じがした

そして最後に参加者がお互いに聴きたいことをしつもんするコーナーになった。

私は「これから何をしていきたいですか?」相手の方は「継続するコツは何ですか?」など・・しつもんしたことは実は自分が聞いてもらいたい内容なんだと気づく。

そしてお互いにアウトプットしながらシェアするという流れだった。

初めて会うメンバーなのにとても気持ちの交流ができた気がした。

しつもんされて「うーんと・・」と考えながら次に進むと 脳が動いてくる気がする。

それから「しつもん読書会」に興味が沸いてきて調べていくうちに人はしつもんに対する答えを考えようとするときに時に脳が動く事を知った。

これは何かに使えそうな気配がした。何に使えるかなと考えながら歩いていたときふとひらめいた。

そうだ毎日の夕ご飯の時におじいちゃんと夫と私の3人でしつもん夕食会をしたらどうだろう・・と

いつもは何げない会話でご飯を食べているが おじいちゃんはやっぱり 体調の事や 問題があった事などの内容が多い気がする

せっかくの貴重なひとときなのだから 笑って過ごせたらいいな・・と思っていたが

そのしつもん読書会のルールが参考になりそうだ

それはしつもんに対する答えに対して 

①お互いに否定しないこと・・何を言っても「素晴らしい!」と拍手をし最後に両手で親指をたてて「グッ!」と言い合うのだ

②答えが出なくてもOK 「素晴らしい!」パチパチ 「グッ!」

これをやっていく内にだんだん盛り上がってくる。

 

私の毎日のしつもんは何にしようかな?

そうだ 「今日なにか面白い事ありましたか?」これにしよう!

 

さっそく今夜の夕食の時に提案してみようっと

そこで私は自分自身にしつもんしてみた

「あなたは どのような目的でそのしつもん夕食会をしてみたいのですか?」 

私「えーっと・・おじいちゃんの笑顔が見たいから。そしてそれを見ている私たちが幸せになるから」

どんな時間になるのかワクワクしてきた

 

 

 

 

 

 

 

おじいちゃんの びっくり現象!

 

 

 

 

 

 

我が家のおじいちゃんは 何かにつけ大げさに(!?)びっくりする癖がある。

少し耳が遠くなってきたので もともと声は大きくなっていたが
ちょっとしたことにもすごく驚いたように「おおっ?」という

少し手を滑らせて飲もうとした薬が床に落ちれば「おおっ!!」

お味噌汁が少し熱いと「おおっ!熱いな」

そんなおじいちゃんのびっくり現象にも 少しづつ慣れてきた私だが

先日散歩から帰ってきて
「えりさん 帰ったよ!」

というので玄関に迎えに行った時の事だった・・・

最大級の大声で「おおっ?」

というので何かと思い

「お父さん どうしたの?」と聞くと

どうやら玄関の大きな姿見に私の姿が映って入るのを見て

どうしてそこにいるのかとびっくりして大声を出したらしい・

「えりさんがどうしてそこにいるのかわからなくてびっくりした」

見るとその鏡の中で私が仁王立ちに立っているではないか・・

おじいちゃんの後ろにいて 私の姿は見えてないだろうと思っていた私は

無防備な顔で腰に手をあて 自分が見ても怖そうな感じがした

父「本当にびっくりしたわ!」というので

私「本当ですね これは怖いわ。でもそのお父さんの声にびっくりしました!」

というと二人で大笑いになった。

大きな声を出すのもリハビリか・・

と思うとそれもまたよしと思った。

これからは後ろにいるときも笑顔でいようっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おじいちゃんが洗濯機デビューした

 

 

 

 

 

それは雨上がりの晴れた日の午後のことだった 

父(義父)が離れから主人の作った渡り廊下をコツコツと杖の音を響かせながら母屋にやってきた。
父「えりさん、洗濯機の使い方を教えてくれんかのう」

私「えっ お父さんやるんですか?」

父「うん わしの下着くらい 自分で洗ってみるわ」

私「やっと暖かくなったから そろそろ良いかもしれませんね」

離れの洗濯機は家の外のベランダに置いてあるから 以前からその気持ちはあったものの暖かくなってからと思っていたらしい。

自分から何かやることを求めて来るというのは かなり前向きな事なので
嬉しくなった私はいそいそとおじいちゃんと離れに行った

私「まず蓋を開けて・・・・」
父「蓋はどうやって開けるんかのう」

本当に何も知らないんだ
私「次に洗濯物を入れて・・」

父「これでいいのか?」と恐る恐る入れている父がなんだかかわいく見えてくる
ばかに丁寧に入れている
父「広げて入れた方がいいんだろ?」

いつもガバッと入れてしまう私なので「そうか」と逆に教えられた気分だ。

私「はい ここに洗剤をいれて」
父「洗剤ならここにあるぞ」と父が取り出したのは 何と漂白剤のボトルだった。

私「はい 次は蓋を閉じたら ここのボタンを押して」

電源のボタンには入・切と表示されている。
一つのボタンをぽんと押すだけなのに 今は入だなと一生懸命 切の文字に触れないようにしているのでなかなかスイッチが入らない

私「お父さん 今は電源を入れるときだからこのボタンをぽんと押せば自然に電源が入るから 切の文字は気にしないで大丈夫です」

父「そうか・・」
私「そしたら次はスタートボタンを押してね。

父「あっ 水が出てきた 水道の蛇口はかまわなくていいのか?」

私「ここに30分と出てるから 30分したら終わるからねー」
父「ありがと ありがと」

87歳にして初めての洗濯機デビュー・・自分でやってみようとするその気持ちには頭が下がるが 今まで全部おばあちゃんがやってくれていたんだという事をあらためて知った。

夕食の時その後の洗濯劇の結末を聴いてみた。
私「おじいちゃん 洗濯物は大丈夫でした?」

父「途中で心配になって見に行ったらまだ15分しか経ってなかったから、また見に行ったよ」
私「ちゃんと干せれた?」

父「干したけど 何か黒い点々がいっぱいついていた」

そうかおばあちゃんがいなくなってから離れの洗濯機は使っていなかったので 洗濯槽にカビが生えてしまったんだな

「洗った後 蓋を開けておくと良いかもしれないですね」
「そうか・・」

それで夫を待っている間に洗濯の順番のイメージトレーニングをしようと思い立ち「お父さん今日の洗濯機の使い方を思い出してみましょうか?」
と提案する。
「えーとまずは蓋を開けるんだったな・」

言葉を詰まらせながら、私の誘導で思い出そうとしている。

「もう一度 一緒に見てもらわないと 自信がないなー」
「はいはい何度でも 行きますよ」

ここで私は実感した。日常生活の中で今までやったことがないことに挑戦する事が一番脳トレになるんだと言うことを

しかも自分からその気になったおじいちゃんはやっぱりすごいと思ったので
「お父さん すごいですね! お父さんが洗濯してくれたら私助かります」と素直に褒めると
思わずおじいちゃんが言った

「OK牧場!」

父との夕食時の会話が楽しみになってきた

 

 

密室の怪事件

 

 

 

 

 

 

猫が2階から飛び降りてきた

「ただいま-」誰もいないのは分かっていたけど

元気よく玄関の戸を開けて入ってきたときのことだった。

我が家は玄関を入るとすぐ右手に2階に上がる階段があるのだが
その2階から 何かが勢いよく降りてきて私の目の前を通り過ぎて行った

「ぎゃー!」
誰もいないという前提でいた私は気絶しそうなくらいびっくりした。

しかも家の中にいるはずもない最近我が家の周りに良く出没する 

大きな白い猫だった。

相手も相当驚いたらしく部屋のガラス窓から逃げようとして必死で飛び上がっている

窓越しに見ているのとは違い目の前で外に出ようとしている猫の大きいこと

猫や犬が本来苦手な私は「きゃー きゃー」言いながら 
大きなガラス窓の戸をやっとの思いで開けて

「こっちから 出てって!」と叫んだ!

やっと出口に気づいたその大きな白い猫は 脱兎のごとく飛び出して行った。

ドキドキハートを感じながらも次に私が思った事・・

「どこから入ったのだろう?」

そして家中の戸を確認した。

何とどの窓や戸もしっかり閉まっているではないか・・
「???」
密室の殺人事件というのは名探偵コナンでよくある話だが
まさに密室の野良猫侵入という怪事件が発生した!

そして おじいちゃんと主人と3人の夕食の時
今日の怪事件を話した・・・

そこで謎は解けたのだ・・・

最初は「そうか・・」と人ごとの様に聴いていたおじいちゃんだったが

次の瞬間 「あっ!」という表情の変化を私は見逃さなかった。

「おじいちゃん何か心当たりでも?」

いつもは頑固なおじいちゃんが 今日は素直に
「犯人はわしじゃ・・」と白状した

我が家は母屋とおじちゃんが住む離れを主人がDIYで松の廊下のような渡り廊下を作ってくれ、それが架け橋となっている。

そして何か用事があるときはその渡り廊下をおじいちゃんは杖をコツコツとつきながら母屋に来る。

今日は新聞を取りに母屋に来てその時に出入り口の戸を開けたままにしていたらしい。

2時間くらい経ってまた用事で母屋に来たときに戸が開けっぱなしになっている事に気づき閉めたという事だった。

その白い大きな猫はその間に家の中に入り そして戸を閉められて出るに出れなくなって家の中にいたんだと

名探偵コナンチームは結論づけた。

「それは すまんかったのう」今日はやけに素直だ

主人は続ける・・「今度は仲間を連れてくるんじゃないかなあ・・」
「それは絶対 いやー!」と叫ぶ私

「えりさん 悪かったね 今度はしっかり閉めるからなー」
「おじいちゃん頼みますね」

ちょっとしょげているおじいちゃんが なんだか可哀想になって

「でも 昼間おじいちゃんが 離れに居てくれると思うだけで 留守にしていても安心していられるんですよ」
と言うと

「そうかー じゃあお休みなー」と松の廊下をコツコツ音をさせながら おじいちゃんは離れに戻って行った。

後ろからついて行って部屋まで見送る時かなり背が丸くなってきた背中をさすって

「今日は少し背が伸びた感じですね」という私に

「えりさん ここでいいでね おやすみ・・」

今日も無事に終わって良かった
おじいちゃんのおかげで エピソード満載な毎日に夫婦の会話も増えた気がする。