HDS-RとMMSEの違い
認知機能のスクリーニング評価として HDS-R(長谷川式認知症スケール)とMMSE(ミニメンタルステート検査)があります。
日本ではHDS-Rを評価として使う機会や医療機関が多いのですが、MMSEは世界的に使われており、文献などでも最近MMSEの点数で評価されていることが多いので、どのように違うのかまとめてみました。
所要時間は両者とも10分程度 質問数はHDS-Rは9項目で記憶力に関する項目が中心ですが、MMSEは11項目で、言語機能・空間認知の問題が含まれています。
点数はどちらも30点満点で、認知症の疑いがあるとされるカットオフ値はHDS-Rでは20点 MMSEでは22点とされています。
<認知症のタイプ>
臨床場面でみられる認知症は、以下の4つが多くを占めます。①アルツハイマー型認知症:記憶力低下を中心とする認知症
②脳血管型認知症:脳血管障害に伴うもので、損傷部位に応じて様々な症状が現れる認知症
③レビー小体型認知症:具体的な幻視と症状の変動(on-off)を特徴とする認知症
④前頭側頭型認知症:人格の先鋭化など前頭葉症状を中心とした認知症
<検出しやすい認知症のタイプ>
HDS-Rは記憶力を必要とする問題を中心に構成されています。
特に「遅延再生」はHDS-RとMMSEの両方に含まれる項目ですが、配点はHDS-Rは6点でMMSEは3点となっています。
なので記憶力低下を中心とするアルツハイマー型認知症の方はHDS-Rの得点が低くなりやすい傾向があります。
一方、MMSEは「口頭指示」「書字」「図形模写」など、言語機能や空間認知機能を必要とする項目が4項目あります。
これらの機能の障害は、主に脳血管障害の後遺症(失行・失読・失書・失認)として現れます。
したがって、脳血管型認知症の方はMMSEの得点が低くなりやすい傾向があります。
(参考:郡山STゼミナール)