いつもの様に おじいちゃんと夫と3人で「今日も皆でご飯が食べれてよかったね」と夕食会が始まった。
そこに携帯電話が娘のAからの着信を告げた。
スピーカーホーンにすると自然にそこは4人の食卓の様になった。
娘の声が聞こえると おじいちゃんは自然に笑顔になって行く。
娘「おじいちゃんにお願いがあるんだけど・・」
父「なんだね?」
娘「結婚式の時にバージンロードを歩く時 お父さんとおじいちゃんに一緒に歩いて欲しいんだけど いいですか?」
父「オーオー いいよ」
二つ返事で答えるおじいちゃん。
夫も私もびっくりして聞いている。
2ヶ月後に結婚式を控えているAは、とてもおじいちゃんとおばあちゃんを大切に思ってくれていて、これまでも時々二人を温泉に連れて行ってくれたりしていた。
Aの事になると 顔が緩むおじいちゃんだが さすがにバージンロードを一緒に歩くというと少し前なら絶対に
「気持ちはあるが 無理だー」と言っていたような気がする。
確実に元気になってきているおじいちゃん。
父「よし あと2ヶ月あるな・・毎日 頑張って散歩に行くからな」
私も今までたくさんの結婚式に出席させてもらったが、父親と祖父に挟まれてバージンロードを歩く花嫁さんは観たことがない。
Aもいろんな事を考えてくれていたんだなと思うとありがたい気持ちになった。
そしてその提案に何の抵抗もなく答えるおじいちゃんに 孫パワーのすごさを感じた。
家族は皆繋がっているんだなとあらためて思った。
おじいちゃんはこれから毎日 離れと母屋を繋いでいる夫の作った松の廊下(!?)を杖をコツコツさせながら歩いてくるとき、赤いバージンロードを孫のAと腕を組んで
歩いているイメージで来るのかな?
思わず そのおじいちゃんが倒れないようにその横に私が腕を組んでいる姿を想像し まるで4人3脚のゲームみたいとひとりで吹き出してしまった。